そばにいてくれるだけでいい。言葉はいらなかった。

あれは中学生の時の出来事。寡黙な僕は周りの人に対してほとんど会話をすることがなかった。

理由は”めんどくさかったから”http://www.homoludicus-sabadell.org/

周りの人に対して心を閉ざしていて、友達を作ろうという中学生特有の雰囲気にも抵抗していた。

別に一人でいいし、家族に対しても『うん』『わかった』の最低限のコミュニケーションのみ。

反抗期からくるものなのか、周りの人間関係や環境に幻滅していた。

そんなうんざりしていた日常を送っていたある日、

同じ野球部だった同級生の一人が話しかけてきた。

『◯◯ってかわいいよな』

『まあ、そうだな』

それくらいの感じで伝えたと思う。

そんな些細なことをキッカケに近所の小学校で落ち合う場をセッティングし、

その流れで付き合うことになった。

その噂はすぐに広まったが特に気にしてはいなかった。

ただ周りの雰囲気のせいもあり、

最初は形式的にとりあえず一緒に帰っていた。

もちろん会話はなかった。

部活後、暗くなって誰もいない幼稚園に入り二人で夜空を見上げながら

しばらくするとバス停まで送って帰る。

そう繰り返していく内に段々、会話こそなかったものの彼女に会うことで心が温かくなってくる感覚が生まれ、

彼女のことが愛おしく思えてきた。

二人で何も話さず空を見上げる。

特別なことはなにもしていないけど、なんだかすごく満たされていて、幸福感に包まれていて

彼女と会うときだけ時間があっという間に過ぎていった。

ただそばにいてくれるだけでいい。言葉はいらなかった。